ポニョにはドラマが欠如していた。

以下、ネタバレ気味。

だって、あれ、ちっとも「試練」になってないもんね。あの5歳男児には、文学的な内面がまったく欠けていた。その真実を知ってもなお愛せるのか?…って、いや、最初っから知ってるやん、ね。むろん、かの映画監督がこのような失敗をするわけがないのであり、故意にそういったものを描かなかったに違いないのである。文明批判的なセリフは、リップサービスなんだろうか。『もののけ姫』を見てしまった後で、自然への回帰、全体性への幸福な合一など、信じられるわけがなーい。