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「おまえは機関手にはなれねえよ」と親父は言った。「どうしたって無理だ」


ぼくが、その親父をにらみつけると、親父は「汽車は線路の上を走るもんだが、この世の中にはおまえだけの線路なんかありゃしないだろ?」と言うのだった。


親父は人間の線路というものが、必ず誰かに作られるものだと思ってるらしかった。


寺山修司「アダムとイヴ、私の犯罪学」)