ミュシャ展@森アーツセンターギャラリーを見た。特に期待してなかったんだけど、たいへん面白かった。ミュシャってオシャレサブカルっぽいイラストみたいな絵だろ? 興味ねーな、と思ってたけど、そんなイメージを覆される展示だった。最初の展示室に、スナップショット風の写実的な子供の絵があるんだけど、これがもうドキドキしてしまうような描写で。愛国者、スラブ人としてのアイデンティティがとても強い人だとか、フリーメーソン入ってたとか、知らなかった。芸術のための芸術ではなく、大衆のための芸術、ということを言っていて、実際、演劇やお菓子やタバコのポスターイラストを描いて大人気だったわけだけれど、このへんがハイアートと大衆文化の幸福な交錯点であったのかもしれない。石鹸のパッケージの絵も、宗教的で暗い表現主義的な絵も、様式的で華麗でありつつグサグサ刺さってくるようなかっこ良さである。晩年をついやした超大作プロジェクト「スラブ叙事詩」、最大6×8mの連作、だそうで、死ぬまでに見てみたいものの一つだなー。